『それで、1つ聞きたいことがあるの、いい?』
「あ、ああ。」
カズヒロは、アキの様子が変。いつもより焦っていると察知した。
『何で病院の先生に、私の耳が聞こえないこと言ったの?』
「何でって言われても…アキの耳が、今どんな状態かを検査してもらって、そこから良くなるような方法が見つかればいいかなと思って。」
『私は、検査入院したくなかった。』
「えっ…。」
カズヒロは驚いた。
『私の耳は確かに悪い。検査入院も必要だと思う。でも、カズヒロが勝手に決めつけないで欲しかった。私だって、明日も明後日も学校に行きたいのに。』
カズヒロは、下を向いてしまった。
「ごめん。俺アキの耳の事ばっかり考えてて…アキの心なんて考えてなかった…。」
アキは頷いて、
『じゃあ私、病院に戻るね。』
「おぅ。」
アキは笑ってみせて、病院へ向かおうとした…。
その時、
キーン…。
耳に激痛が走った。アキは必死に痛みを堪えた。
「アキ?」
カズヒロはアキに駆け寄った。
「アキ!」
アキはその場にうずくまった。
呼吸が荒くなってきている。