ねえ、デイヴェル。君はまだ、あのこと覚えてる?
───それは、二年前の出来事でした。
ある晴れた春の日、サクラっていう綺麗な花が咲く木の下で、君と私は初めて出会ったんだよね。
「オマエ、俺が見えるのか…?」
目があった瞬間、真っ黒な服を着てカラスの色をした翼を生やした君は、真っ白な服を着てスワンの色をした翼を生やした私に言ったの。
「うん。…あなたも、私が見えるの?」
聞き返すと、君はなんにも言わないで、首を縦に振ったっけ。
「俺が見えるってことは、オマエ人間じゃねえな?ってか、人間に羽根は生えてねえし。」
「それじゃ、あなたも人間じゃないわねっ。私が見えてるんですもの。」
そう、私も君も、人間なんかじゃなかった。
私は天使で、君は悪魔。
お互いに違う世界で暮らす者同士。
だから、私は今、こんなに悲しいの。
「ねえ、あなた名前はなんていうの?」
すると、君は顔を少し赤くして言った。
「…デイヴェル。」
「悪魔(Devil)だから?それじゃ私も似たようなものだわ♪私、エイジェルっていうの。」
「ふん、天使(Angel)か。」
それから、私達は会うようになったの。