徹「もしもし?」
郁江「ずいぶんと楽しそうね。」
徹「い、い、郁江!?」
郁江「あら、電話で話すのは久しぶりなのに妻の声は覚えているのね。」
徹「どうして!?」
郁江「あなたの行動が最近、おかしかったから調べたのよ。いい?今、すぐに、その女に別れを告げなさい!じゃないと全てを失うわよ。」
徹「今、すぐって?ま、まさか、カードは、お前の仕業か?」
郁江「ええ、そうよ。文句あるの?で、どうするの?言うの?言わないの?それと、その女が住んでるマンションは今日、解約したから。」
徹「マ、マンションも?」
郁江「私は本気よ。でも、あなたに一回だけチャンスは、あげるわ。どうする?」
徹「わ、分かった。言う。今、言うよ。」
郁江「携帯は切らないでよ。」
徹「あぁ、分かった。真理、申し訳ないが終わりだ。」
真理「はぁ?なんで!?奥さんとは別れるって言ったじゃない!奥さんと別れてよ!」
徹「悪いが、それは無理だ。カードも、とめられてるしマンションも解約された」
真理「酷い…そんなのって…酷いよ!私は今日から、どこに住めば良いのよ!」
徹「それは、俺が何とかする」
真理「どうやって?カードも使えない、お金も持ってない。で、よくそんな事が言えたわね!今だって私が払ったんじゃない!イイ加減な事、言わないでよ!もういいわ。さよなら!」
徹「真理!」
真理は徹から携帯電話を奪い取ると、振り向きもしないで行ってしまった。
徹も仕方なく歩き始めた。
そこへ黒塗りの高級車が止まった。
窓が開き中から郁江が顔を出した。
郁江「これに懲りたら浮気なんて、みっともない事は、もうしない事ね。」
徹「…あぁ…」
郁江「じゃあ、車にお乗りなさい。」
言われるがまま徹は黒塗りの高級車に乗り込んだ。
つづく