―蹴soccer球―

 2006-08-31投稿
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 相手の右バックの頭を越えたボールが隼人(佐藤 隼人)の足下に入った。縦へとドリブルをしかける。センターバックがすぐに寄せてくる。
 「隼人!早く中に入れろ!」
 ベンチから俺(山本 明)とキャプテンの将平(川上 将平)の声が飛ぶ。
 中はニアに控えの1年生フォワード、ファーに俊樹(芹澤 俊樹)がいる。1年生フォワードにはさっきの右バックがもうついている。俊樹はフリーで、上がっていたもう1人のセンターバックがあわててマークにつこうとする。その後ろから祐希(大山 祐希)が走りこんできている。今ボールを出せばゴールを決められるかもしれない。
 しかし、隼人は寄せてきたセンターバックを抜かそうとしてボールを取られた。隼人の悪い癖がでた。足は速いがドリブルがあまり上手くない。そのくせに1対1で勝負したがる。
 センターバックが前線にボールを入れる。カウンターになり、相手の10番に渡る。また寄せが遅くペナルティーエリア外からミドルシュートを撃たれる。
 ボランチの俺とトップ下の将平は2週間前の新人戦で2人ともケガをしてしまい中盤が薄くなり、スイーパーの駿(長谷川 駿)とキーパーの諒(宮崎 諒)がケンカして22人とも部活に来なくなってから1週間が過ぎた。フォワードの達也(藤代 達也)は「こんなメンバーじゃ出ても意味ねぇよ」と言い今日は休み。
 その結果、新人戦では市の大会でベスト4まで行った桜が丘中学がその大会で3―0で破った深見中学に0―1で負けている。
 「なんで早くクロス上げねぇんだよ!!」
 俊樹の悪い癖もでた。キレやすく、キレた後はプレーがかなり雑になる。今日の試合ではよく耐えたほうだがついにキレてしまった。
 キーパーの弾いたボールを押し込まれ、また点を入れられる。
 試合終了のホイッスルが鳴る。
 結局この練習試合は0―2で完敗。


≫≫2話に続きます。

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