リレー小説「王国の掟」最終話?〜麻呂〜

麻呂  2010-08-25投稿
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「あ〜っっ。王様が泣いてる!!」


「誰だ?!王様を泣かしたのは!!」


「さぞ辛い航海だったのじゃろ?!」


王国の住人は皆、王様の無事の帰国を喜び、


また、周囲を飛び交う喜びの言葉は、


王様にとって、


この1年間の航海の間に皆からの信頼を失わずにいた事を安心させ、


とても嬉しい1日の終わりを示す事となったのでした。



明くる日――



サラは、王様と共に、以前より豊さが増した緑の森に架けたハンモックの上に座り、


王様の航海の、厳しくも楽しいお話を聞いていました。


「私ね、自分の使命を達成する事は、一生出来なくてもいいかなって思う。」


「何それ?!じゃあ僕は、一生この王国の王様として、未熟者だって事?!」


「そうじゃなくて………。」


「サラは、タケルの事が好きなんだよね?!」


「好きよ。1人の人間として。

彼はとても立派な方です。」



リスにフクロウ、綺麗な小鳥達――



王様が連れて来た動物達が、2人の事を優しく見守るかの様に、じっと見つめています。



「ねぇ王様。

前に私が話したお話には続きがあるの。」



「へぇ。どんな?!」



「神は言いました。
王様が20歳になった時、

お付きの乳母が母親と名乗る事を許しましょうと――」



「じゃあ、僕の母さんは、今もどこかに元気でいるんだね!!」



「えぇそうよ。もしかしたら、すぐそばで王様の事、見守ってくれてるかもね。」



心地よい風が、優しくハンモックのブランコに降り注ぎます。



「ねぇサラ。」


「なぁに?!王様。」





――ボクハズットキミトイッショニイタイ――





素敵な王国を築く事が出来た王様は、これからもずっと、


王国の住人の皆に信頼され続ける事でしょう。



もしかしたら、



神様が2人の恋のキューピッド役になってくれたのかも知れませんね。





☆END☆



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