そう思えば思うほど、カズヒロの目から比例するようにこぼれる涙。
確かに、親に迷惑かけていたことは事実だから…。
事実だから…。
その時、
「カズヒロ!」
…俺を呼ぶ声…。
その声は、音がしっかり取れていない
変な声…。
でも、俺が1番愛している人の声…。
1番…聞きたかった声。
カズヒロはゆっくり振り返った。
「アキ…?」
間違いなく、アキの声だった。
カズヒロは、涙でびしょびしょの顔で、アキを見た。
「私も好き。」
…別れるわけじゃない。ただちょっと、ギクシャクしただけ。
アキは、カズヒロにこの言葉を叫んだ。
変な音で、私は言ってることは分かっていた。
病院の人が、じろじろ私を見ているのが分かったから。
カズヒロは、最後にもう一筋の涙を流して、
『ありがとう。』
と手話で伝えた。そして、
カズヒロが…
見えなくなった。
アキの震える手。
涙は見せたくなかった。
一気に緊張が解けると、
アキは大粒の涙を流した。
「ごめんねアキ…。」
『いいの。お母さん。迷惑かけてたの私だし。』
でもなぜ、お母さんはわざわざ2人を引き離したのだろうか。
それには、ただカズヒロが嫌いなわけじゃなく、
真の理由があった。