雪の華?

龍王  2006-09-01投稿
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桃実(彼女)に呼び出された聖夜。

「珍しい…お前から連絡よこすなんて…何か急用か?」
「──……」

桃実は、顔を曇らせうつ向いている。
聖夜が、様子のおかしい桃実を心配し、顔を覗き見る。

「──………て…く…い」
「えっ?」


綺麗な澄んだ声で、小さく桃実が言った。

「私と…別れて…下さい」
「なっ…何言って…」

聖夜はその言葉が信じられず、冗談だろっと訊く。

「……」
「……本気…なのか?」

桃実は黙って頷く。

「俺が……何かしたか?」
「違う!!」
「なら…なんで…」
「違う…聖夜のせいじゃない。もう…私は…聖夜を苦しませたくない。縛っていたくない」
「……いつ…俺が苦しんだ?縛られた?……逆だろ?俺がお前を……放せない」

桃実は大きく首を左右に振る。
大粒の涙が溢れ、無表情の顔に涙が流れている。

「見て…」

桃実が自身の腕の傷を見せる。その傷は醜く痛々しい。

「この傷…覚えてる?私が我を失って黒峯を殺そうとした時…あなたが止めてくれた。その時、手に持っていたナイフで私は誤って自分の腕を切った」
「……覚えてる」

「ナイフを持って、黒峯を殺すって泣きわめいて暴れて、あなたは我を無くしている私を必死に止めてくれた。……いつの間にか一時意識が無くなって、気付いたら腕が痛くて、あなたは血まみれで……泣きながら私の名を呼んでいた。悲痛な叫び声で私の名を呼び続けてくれていた」

「──……あの時…お前は俺を威嚇する為にナイフを振りあげた。でも正気じゃなくて、振り上げた大きな反動でナイフはお前の腕に突き刺さった。その上お前刺さったナイフを無理矢理抜いたんだ。出血がひどくてすぐに貧血起こして…倒れた」
「聖夜には……本当に…悪いと…思ってる。ごめんなさい…」

「……病院に運ばれて……傷が深くて一生傷が残る。…そう言われた時……お前はもう…以前のお前じゃなくなってた。人形みたいに…無表情で笑いも……泣きもしなくなった」

「──……私は……もう……どうでもよくなったのよ。……黒峯が傍にいてくれないなら…もう私は意味が無い。でも…でも今は…今はもう違う。私は…」


私はもう
大丈夫…だからもう…

ごめんなさい
聖夜…



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