君と見た空*7の1

玲唯  2010-09-01投稿
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07.部屋


私とアオトは並んで道を歩いている。


アオトが家まで送るって言ってくれた。


泣き止んだばかりの私は、鼻をすすりながらゆっくりとした足取りで歩く。


アオトは何も言わずに私のペースに合わせてくれている。


気持ちも少し落ち着いた。


多分、アオトが一緒にいてくれたからだと思う。


あのまま1人でいたら、ずっと泣きっぱなしだっただろーなあ。


思ってみれば、こうしてアオトといるのは久しぶりだ。


落ち着くなあ、やっぱり。


そーいえば、アオト何があったのかって聞いてこないけど、言った方がいいのかな。


「あ、私の家ここ」

「……もう平気?」


その言葉に、私は小さく頷いた。


するとアオトは、よかったって言って笑った。


久しぶりに見た。


こっちを温かくさせるような、アオトの笑顔。


「よ、よかったら寄ってく? 話したいことあるしさ」

「いいの?」

「うん」


やっぱりアオトには話しておかなきゃね。


聞いてこないだけで、絶対疑問に思ってるだろうし。


私たちはアパートの階段を上り始めた。


「アオト、私ね……失恋しちゃった」


部屋に入ってベッドに座ると、私は話し始めた。


アオトは私の隣に座って、黙って話しを聞いている。


「今日、その人に誘われたんだ。その人の友達も一緒だったんだけど」

「うん」

「それでね、その人に彼女がいるって知って……。その人と彼女が話してるの隠れて聞いちゃってね」

「うん」

「そこでその人、私のこと……付き合ったらめんどくさそうって。あんなやつ嫌だ、って」


結城くんの言葉が、結城くんの声が蘇って、また涙が溢れた。


私は途切れ途切れになりながらも話を続けた。


「私、が……今日誘われた、のは……友達に誰か紹介してって、言われたから、だって。だから、私───」


いきなりアオトが私を抱きしめた。


あの時とは違って、強引で強い。


「……アオト?」

「もういい」

「え?」

「そんな奴のことなんか、忘れなよ」


そう言うとアオトは、さらにきつく抱きしめる。


「アオト、苦しい……」


私が言うと、アオトは私の両肩に触れてゆっくり体を離した。


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