朝。
輸送部隊の中に紛れ込んだエナンとミーナは、かぶっている鉄仮面の下から周りを注意深く見回していた。
―人数は前回の二倍の二十人…か。
エナンは僅かに顔をしかめて、小さく息を吐いた。
大きな荷車を中央にして周りを騎馬で囲み、その周りに槍を持った兵士たちが囲んでいる。
―しかし…一番前にいる黄色のマントを着けた兵士は何者だ？
兵士や騎士たちが着用しているマントは赤で統一されているが、一番前を歩いている兵士たちだけは黄色のマントを身につけていた。
彼らも鉄仮面で顔を隠しているので表情は窺い知る事はできない。しかし、その雰囲気は他の兵士たちを圧倒していた。
―この兵士たちは要注意だな…。
エナンは小さく頷いて、持っている槍をきつく握り締めた。
ダリル、ザック、リリアの三人は森の茂みの中で輸送部隊が来る事を待ち構えていた。
｢まずはメディナさんが相手を引きつけるんだよな｣
｢ああ｣
ザックの質問に、ダリルは小さく頷いた。
｢緊張してる？｣
リリアは小さく笑って、ザックの僅かに震えている肩に手を置いた。
｢まあ、それなりに…｣
ザックは苦笑しながら答えた。
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