ツキは耳を疑った。けど今確かに、少年の空中ブランコと言った…。するとオッサンが楽屋へ戻ってきた。そしてその爪先はツキへ向けられている―\r
『ツキたのむぞ!!』オッサンはそういった。『は…??オレ?』こんな言葉しかでなかった。確かベルっていう女のヒトと山田君がペアでやるはずだった。でもなんでオレ?『ベルが腕の骨おったんだ』…だからオレにやれと…?『いつのことですか!オレしばらくしてないしいきなり本番なんてむりだ!!』オッサンはごまかし笑いをうかべながらツキにたのんだ。『たのむ!!』そういってツキのせなかをおしていく。ステージのほうへ…
『えっちょっと!!無理です!やだ!!はなせよッ』けどオッサンはひたすら『たのむ』としか言わなくてついにステージの方へと突き飛ばした。…“ワァァァッ”歓声の嵐の中、ツキはコケそうになったのをごまかすため前転をした。ステージに出たからにはやるしかないのか…大丈夫、これでも前やってたじゃん!!そう自分に言い聞かせ、ハシゴを上った。向こうにはペアの山田。何となく懐かしい感じがしたけど今はそれどころじゃない。集中しないと。そして曲が流れ始めたと同時にブランコに乗った。ツキは見事1回めの技を披露した――…