「レッドアイの店長さん ですよね?」
席に着くなり、先輩の女の子が切り出した。
「レッドアイ?」
なにそれ?お酒の名前?「そうそう、そこの店長 やってんの。
君たちと同じビルの店 だよ。このコ最近入っ たコでしょ?あんまり 見たことない。」
「ルイです。」
「へー、彼氏は?」
「いないです。」
あたりさわりのない会話。
エリカこのヒト苦手だ。目が怖い。笑ってるけど何考えてるのかわからない。エリカは終始、彼のペースにのまれていた。「おっぱい大きいね。
何カップ?」
いつも来る客と同じ質問。いつものことのはず。いつもどおり会話すればいいだけ。やっぱり無理だ。
何を考えてるかわからない。
「あ、このコ新人だから まだおとなしくてさぁ 。新人ってことで許し てあげて。」
先輩からのフォローが入った。
それでもエリカは最後まで彼におびえきっていてうまく話すことができなかった。
「そろそろ閉店なんでお 会計いいかなぁ。」
「あぁ、そだな。」
「ありがとうございまぁ す。」
彼はアクビをしながら、夜の街へと消えていった。
「あのヒトさぁ、オーラ あるよね。同じビルの 店だから覚えておいた ほうがいいよ。」
忘れられない。
できればもう2度と会いたくなんかない。
その日はなんだか疲れきってしまって、帰宅そうそう倒れたように寝てしまった。