「かんぱーい。」
今日は学校の仲間と飲み。最近エリカはうまくヒトと付き合えるようになって友達に頼られるようになった。
夜を始めてヒトとうまく付き合えるようになったんだから夜の仕事も悪いことばかりぢゃないかもね。
「いっらっしゃいませー 。こちらの席へどうぞ ー」
今日は日曜日。
店内はちらほらお客さんが入っているだけ。
こんだけ席あいてるのになんで隣に入んの?
隣の席には2人の男がとおされた。
ヒトごみが嫌いなエリカは隣にヒトが来てテンションはがた落ち。
「ん?」
どっかで見たことある。「あー!?」
やばい。
男がこっちを見た。
もう2度と関わりたくないと思った男。
「あ!!」
気まずくなったエリカはあいさつをしてさっさとこの場から消えたいと思った。
「レッドアイのかたです よね?ルイです。キャ ッツで働いてる。
覚えてます?」
「覚えてる覚えてる。
最近入ったコでしょ? ルイちゃん、本名なん ていうの?」
「あはは、いきなり本名 聞きますぅ?」
「せっかく知り合えたん だし本名知りたい。」またあの目。
なにを考えてるんだか、なにも考えてないんだかさっぱりわからない。
「エリカです。」
エリカは怖くなってボソッと小さな声で答えた。「エリカ…いい名前だ。 これからよろしくね、 エリカ。」
彼が少し微笑んだ。
あれ?普通だ。
エリカは初めて彼の笑顔を素直に受け止めることができた。
酔っぱらってウトウトする彼。
本格的に寝始めた彼をゆり起こす友人に不機嫌そうな顔をする彼。
ごく普通の人間。
「そろそろ行こっか。」明日も学校だ。
エリカたちは早めに切り上げて帰ることにした。「バイバイ、エリカ。
また会ったときよろし くね。」
酔っぱらってニコニコ笑う彼。
彼と出会って2回目。
もう2度と関わりたくないと思ったはず。
最初とは違う彼のギャップ。
女の子ってギャップに弱いってよく言うよね。
その日なんだか彼が頭から離れなかった。
きっと気のせいだ。
エリカはあのヒトが苦手…苦手。苦手だもん。
彼のことを考えながら、エリカはモヤモヤした気持ちのまま眠りについた。