5日ぶりのバイト。
気分は最低。
酔っぱらって女の子に罵声を浴びせる客。
女の子の体を触って喜ぶ客。
隣の客がガンつけてるとケンカを始める客。
今日はたちの悪い客のオンパレード。
イライラする。
「ルイちゃんさぁ、俺の ことホントに好き?」好きなわけないでしょ。「あはは、いきなりどう したの?」
「今日は俺といるのに楽 しくなさそう…」
キモイ。
最近この仕事に嫌気がさしていた。最低なヤツらにイライラしていた。学校が忙しいのに無理矢理仕事を入れられて疲れていた。
たかがバイトなのになんでこんなにがんばんなきゃいけないの?
まだ学生で社会にでたことのないエリカの考えはほんとうに甘い。
甘ったれてる。
子どもじみた考え方しかできない。
そんなことわかっていた。
でも、ガマンできなかった。
「意味わかんない。」
そう一言言い残してエリカは席をたった。
「ルイ、お客様はお金を 払ってルイに会いにき てるんだぞ。」
店長のお説教タイム
「まぁ、ルイも学校もあ るから疲れてるんだよ な。
お菓子あげるからこれ 食べて今日は寝なさい 。」
店長は甘い。
誰かに怒鳴り散らすところなんて見たことない。もっと叱ってくれてもいいのに。
「店長…こんなの寝る前に食べたら太るって。」「そか。ルイはダイエッ ト中だもんな。
明日も学校頑張れよ。 」
ホントに甘いなぁ。
レッドアイの店長だったら、もし、自分の店の女の子がこんな失態をしたら、なんて言葉をかけるんだろう。
ふと頭にあのヒトが浮かんだ。
5日間あのヒトのことを思い出すことなんて1度もなかった。気になる。いや、たまたま思い浮かんだだけ…
気にしてなんかいない。店長からもらったお菓子を食べながら自分にそう言い聞かせ、エリカはまたモヤモヤした気持ちのまま、眠りについた。