季節はすっかり夏の終わり。
エリカはまだあのビルでバイトをしていた。
理由は…幸村さんの少しでも近くにいたいから。
幸村さんは最近、居酒屋に来なくなってしまった。
「店長、最近来てないよ 。仕事が忙しいんじゃ ないかな。」
エリカもすっかり居酒屋には行かなくなった。
「エリカぁ」
「ん〜?」
「あんたなんて顔してん の。
この前居酒屋に店長い たよ。エリカいないの って話しかけられた。 」
「えー!?」
「でも、最近はめったに 来ないみたい。
彼女できたんだって… あんたが恥ずかしがっ てそっけない態度とっ たりしてるうちに他の 女にとられちゃったじ ゃん、ばかー。」
幸村さん、彼女できたんだ…
彼女できたから日曜日はデートでお店に来れなくなったんだ…
次の日からエリカは幸村さんと目も合わせなかった。
幸村さんの姿を見たら泣いてしまうと思った。
エリカの態度に気づいてか、幸村さんもエリカに話しかけることがなくなってしまった。
これでいい…
エリカに幸村さんの恋愛を邪魔する勇気なんてなかったから…