さて、野ねずみ父さんのお仕事は社内カウンセラーです。
野ねずみ父さんが勤める会社は2日前にCEOの候補者が公示されたばかりで選挙戦の真っ只中です。
どちらに着けば良いのか判断つかねている悩み多き小動物たちが続々とカウンセラールームにやって来ます。
今日一番の相談者は鳩さんでした。
「先生…、僕は一生懸命やってるんです。なのにどうしてちっとも平和至上主義の精神を理解してもらえないのでしょうか…。
もっと良く話し合えば消費税を引き上げつつ消費税徴収で福祉拡充して予算を削減し少子高齢化で労働人口が減少しているけれど企業を活性化して雇用を拡充できる道がきっと見つかるようになるような気がしなくもないんです。」
野ねずみ父さんは、なるほどと頷いてみせて尋ねます。
「もし実現できればとても素晴らしいことですね。いったいどうやって推進するのか是非教えてください」
「ええ、それはその、僕の一存で口外しては他の方たちの迷惑になるかもしれませんし…」
鳩さんは歯切れではなく嘴の切れがいまいちで、首を仕切に傾げます。
「ご心配には及びませんよ、鳩さん。カウンセラーには守秘義務がありますから、ここでお聞きしたことは決して口外いたしません。
それより心の内の思いを打ち明けてみては如何ですか?声に出せばわだかまった思いの正体も掴めるかもしれませんし、より考えも鮮明になることも多いですから」
「そうでしょうか、そう言われてみればそのような気もしてきました。
では先生を信頼してお話ししますが、何卒この件はご内密にお願いいたします。あなたは私の信頼を無下になさることはありませんよね?信頼には信頼を持って応じるのが私の信念ですから」
「そこまで念をおされなくとも大丈夫ですよ。カウンセラーには守秘義務がございますから。
どうぞ私を信じて下さい」
鳩さんは大きく頷いくと自分の手羽先で嘴元を被うようにして野ねずみ父さんに心なし寄り、声をひそめて野ねずみ父さんに打ち明けました。