第十八話 乗っ取り
旬と大津との企画を合わせた一時間後の午後三時大津の番組であるニュース3は予定通り放送されていた。
生放送なので三時ぴったりに放送された。旬はメインアナウンサーで、隣には女子アナウンサーが旬のサポートをしていた。
今日の主なニュースを次々と読み上げていく旬とアナウンサー。ここまではいつも通りの番組だった。旬が知立銃殺事件の事を報道するまでは………
旬がニュースの原稿用紙をペラッとめくって慣れた手つきでニュースを読み上げ、問題のニュースを言った。
「次は今、全国を騒がせている知立銃殺事件です。犯人の青山雪野は依然逃走中で現在愛知県警が総力をあげて捜査をしています」
旬が読み上げると、隣のアナウンサーが
「しかし、今どきの若い子は何をするかわかりませんね」
と、もっともらしい事を言った瞬間だった。
爆竹のような音がスタジオ内に響いた。音が響いた直後上にあった照明が割れて欠けたガラスが旬と女子アナウンサーの頭上に落ちてきた。キャーと、悲鳴を上げた女子アナウンサーが頭を押さえた瞬間ステージ外にいたスタッフが次々と悲鳴をあげて倒れて行った
「なっなんだ!」
と、旬が立ち上がって叫ぶとカチャリという銃独特の音が旬の背後から聞こえてきた。
「最近の若い子は何をするか?分からないですって?」
なんと、京都が旬の後頭部にライフルを突き付け、雪野は女子アナウンサーのこめかみにライフルを突き付けていたのだ。
雪野は先ほどのアナウンサーの言葉にムカついたのか冷たい声でアナウンサーの耳元で囁いた。
「あっ青山雪野!」
旬が雪野の顔を見て叫ぶと
「騒ぐんじゃねぇ!」
なんと、京都が旬達の前にあった机をけり飛ばし、旬のひざ裏を蹴って膝まつかされたのだ!
あまりにも急な出来事にスタジオ内のスタッフはみんな悲鳴を上げるしかなかった。
「たった今から、この番組は私、青山雪野と鏡京都が乗っ取った!!」
雪野が大きな声でそういうと警備員の一人が勇敢にも雪野たちを制止させようとしたが、京都が警備員の足を狙って発砲した!
警備員は足から大量の血を流してその場にうずくまった。
「キャァァァ」
スタジオ内に悲鳴がこだました。