タクトはなんとかウェイトの斬撃を剣で受け止めた。
「おお、反応できたか。少しは成長したんだな」
「黙れ、どうしてこんな事をするんだ!どうしてパラスを裏切るんだ!」
二人の剣が擦れ合い、お互い一歩も退かない状態となった。
「だから、言っただろう?俺はこの国に失望したのさ」
「なぜだ」
「なぜ、だと?簡単なことさ、パラスに不死鳥はいないからさ」
ウェイトがにやりと笑う。
「どうしてわかるんだ」
尚も二人の鍔迫り合いは続き、ウェイトは少しの沈黙の後に答えた。
「・・・そうか、お前は知らないのか『ロストクロニクル』の事を」
「・・・ロストクロニクル?」
タクトは魔導師での村のパールの言葉を思い出した。
「そうさ、ごく一部の地域にのみ言い伝えられている闇に葬られた歴史さ。これを聞いたらお前も目が醒めるだろうさ」
タクトはその時確信した。このウェイトはもう昔のウェイトではないと
「・・・そうか、よくわかった・・・お前が馬鹿な奴だと!」
タクトはウェイトの剣を振り払い、そのまま斬りかかろうとした。だが、甘かった、ウェイトが先にタクトの剣を弾き飛ばし、目にも止まらぬ速さでタクトの首元に剣を向けていた。
「はははは!甘いな、タクト!まぁ落ち着け、今からお前にこの国の真実を教えてやる」
ウェイトは睨み付けてくるタクトに向かって軽い口調で語り始めた。
「太古の昔に起こった北の大地と南の大地の大戦争、女神がこの戦いを止め、大地を別ち、北の大地と南の大地に女神の遺産、つまり科学と不死鳥を置いていった。まぁ、ここまではいつも通りの話だ。だが、二度目に起こった戦い、ルパスとパラスの戦い。この時にパラスが不死鳥を召喚し、戦争は終結したとなっているが、これが違うのさ。なぁ、タクトどう思う?」
「何も思わないさ、ただの作り話だ」
ウェイトを睨み付ける眼は変わらない。
「俺も始めはそう思ったさ。話を戻そう。だが、真実は窮地のパラスを救ったのは不死鳥なんかじゃない。パラスを救ったのはパラスの魔法の力を総動員して創られた『呪われた存在』さ」
「『呪われた存在』だと?下手な作り話はよせ」
「本当さ、その歪んだ力故に地面のずっと下に女神に封印されたんだ。そして、二度と出てこられないようにこの城を封印の上に建てた。この城の役割は怪物を封印し続けることなんだ」