エリカの手を引っ張って歩いていく幸村さん。
「幸村さん?」
「エリカ…びっくりした…なんでこんなとこにいるの?」
「あ、エリカ、実家こっちだから…
幸村さんのほうこそ、なんで…」
「前の店と同じ系列で一昨日から新しく店だしてさ…転勤になった。
ちなみに今エリカいたとこも同じ系列だから…」
びっくり…
出来すぎた偶然だよ。
あの日で、エリカと幸村さんはまったく接点がなくなったはずなのに…
あの日のことを思い出して、エリカは急に気まずい気持ちになった。
幸村さんも、自分で連れ出したくせに次の言葉が見つからずだまりこんでしまった。
沈黙…
エリカは次に何を話そうか考えた。
彼女とはどうなったんですか?
なんて、考えてみたけど、エリカにはそんなこと聞けなかった。