明日が人間最終日と決めて眠りについた。
目が覚めるとなんだかモヤモヤしてる自分に少し驚いた。
誠は別にイジメられてるわけじゃない。友達もいる。ただ何かわからないものが満たされなく人間を終わりにしたくなった。
「つまんないなぁ」
学校に向かう道でつぶやいた一言だった。
「そう?」
隣の家の10歳の女の子が笑顔で家から出てきた。
「なんか久美ちゃん楽しそうだね」
「うん、今日ねプールなんだぁ」
それだけ?と誠は心の中で思った。
「プールだからそんなに楽しそうなの?」
誠は思わず聞いてしまった。
「あたりまえじゃん。プールだよ。こんなに暑いんだからプール入んないと死んじゃうよ」
久美は笑顔でそう言うとランドセルを肩からかけ走っていった。
そんなことで楽しくなるのか?
誠は少し驚いた。
一瞬強い風が吹き抜けた。
「なんでもいいのかな?」思わず言葉が出てしまった。
なんか悩んでいた自分が少しバカみたいに思えた。
「お兄ちゃん遅刻しちゃうよ」
さっき走っていった久美が振り返って叫んでいた。
誠はなぜか急に走りたくなって久美のところまで走った。
「ありがとね」
久美のそばで自然にそうつぶやいた。
「どういたしまして」
久美は笑って答えた。
久美の返事に誠はビックリして立ち止まってしまった。
「いってきまーす」
久美は笑って走り出した。
誠は小学生に何かわからないものが何かを教わった気がして恥ずかしくなって空を見上げた。