あれは番組が始まる一時間前の準備室で打ち合わせをした時だった。
「僕らがライフルで一人撃つだって!?」
まさか、大津と旬が京都達に人殺しになれというとは思っていなかったのか大声で叫んでしまった。
「まぁそう興奮しないで。流石にそんな事はさせないよ。演技だって演技」
旬が笑いながら説明をした。旬と大津が計画したプランはこうだ。
まず、ニュース3が放送されて旬が雪野たちの事件を読むまで物陰で待機。そして、旬が雪野の事件を読み上げたのを合図に二人が、ステージに乱入して派手に暴れる。
ステージにいる旬とアナウンサーを人質にとって「この番組を乗っ取った!」と、生放送中に宣言する。
その時に警備員一人を雪野か京都を襲わせる。それを京都か雪野が発砲。発砲して実際に人が倒れて血を流すところを流せばやらせじゃないと視聴者に理解させることができる。
そこまで話すと二人は
「けっけど、ライフルって………僕らは犯人じゃないので銃は持っていませんし、ましてやライフルなんて持っていませんよ?」
京都が説明すると「分かっているって、えっと……これを使うといい」
大津は準備室の棚からライフルっぽいものを取り出して京都に投げ渡した。持ってみると意外と軽くてプラスチックでできたモデルガンみたいなやつだった。
「これって偽物ですよね?しかも発砲出来ないモデルガンみたいなやつ。これで本当に視聴者を騙せれますか?」
京都は雪野に渡されたモデルガンを見て聞いた。
すると大津はもうひとつ持ってきて、旬に渡した。
「使い方はわかるよね?」
と、聞くと旬は
「当然」
と答えて構えた。京都と雪野は何が起きるのか分からなかったがじっと見ていると、旬が引き金を引いた瞬間に爆竹より派手な音が準備室に響いて、思わず京都達は耳を塞いでしまった。
何が起こったのか分からないといわんばかりに唖然としていると旬がモデルガンを開いて説明した。
「実は、このライフルは撮影とかで使われていてね、銃創に爆竹よりもさらにすごい音が出る火薬が仕込んであって音だけだと本物と見分けがつかないものなんだよ」
旬が説明をすると二人はマジマジとライフルを見た。