友達のサユも、元気になることを祈っていた。
コウタのお母さんは、
「ごめんね。2人とも。コウタは昔から病気にかかりやすかったから…。」
「そうなんですか…。」
サユはお母さんが話したことをアキに伝えた。
「じゃ、飲み物買ってきますね。」
「…すいません…。」
今にも死にそうなコウタ。口がかすかに動いていた。
「ノート…。」
どうやら、ノートを取ってほしいようだ。
「鉛筆…。」
何か書く?
アキは、見たかったが、じっと待つことにした。
ノートに書き終わったコウタは、アキに見せた。
見てみるとそこには、
『俺の秘密
どうして助けたかっていうと、
アキちゃんが好きだったから。』
ふにゃふにゃの字だった。アキはそれを見て、涙がとまらなかった。
コウタを見ると、秘密を教えて安心したように、ゆっくりと目を閉じていった。
「コウタくん!」
サユの叫びも、届かない。
『えっ…コウタ?』
アキもコウタの変化に気づいた。
飲み物を買ってきたお母さんも、悲しさのあまり、病室に入ったとたん崩れ落ちた。
『コウタ!死なないで!』
アキの…、
初恋の相手は…、
天国に行ってしまったんだよ。
サユは、落ち込んでいるアキに何度も言った。
天国…。
もう会えないの?
うん…。
うそでしょ?
うそじゃないよ。
…本当なんだよ。お葬式だって、やったでしょ?
アキはそれから、屍のように、感情を持たず、
ただ生きていく日々が続いていった…。