その瞬間、またしても閃光が彼を襲った。
「ちっ!」
ボロスは起こそうとした体を右方向に転がして、間一髪でそれをかわした。
「ボロス、早く草村へ!」
草村から現れたスレイは弓を引き絞って矢を射た。
矢は兵士の脇を掠める。
その僅かな間にボロスは立ち上がると、草村へと飛び込んだ。
「クリスタルクラッシュを創設しているとは…」
スレイは顔を隠したマスクの裏で唇を噛むと、クリスタルを懐から取り出した。
「何っ!?」
兵士たちはそれを見て、驚いたように足を止めた。
スレイはその隙を突いて元居た草村に飛び込むと、あらかじめ用意した逃げ道を一直線に走った。
―一族の復興への道は厳しいな…。
彼は首を横に振って、鋭い目を前に向けた。
「まったく、兄貴は臆病者だな」
コッペルはその様子を草村から見つめながら、ため息を吐いた。
―最初からこうすれば良かったんだよ。
彼はクリスタルを懐から取り出すと、足音を立てずに輸送隊の横に移動した。
―死ね!
意識を集中してクリスタルを掲げると、閃光が輸送隊を襲った。