「乳」
明治生まれのひいばあさん、乳がとんでもなくでかかった。
いや、とんでもなく垂れていた。
大袈裟ではなく、両方の乳が股間近くまであったと思う。
夏の暑い日は上半身裸になり、両乳を肩にのせ、「あち〜、あち〜」と団扇で仰いでいた。
子育て中は、片乳を肩にのせ、おぶっている我が子に授乳しながら農作業をしていたという信じがたい笑い話まである。
ひいばあさんは、父母の兄弟や友人が集まると、笑顔でその乳を披露していたが、私は自分の将来を見ているようで恐ろしくて笑えなかった。
だが、イチミリもひいばあさんの巨乳遺伝子を受け継ぐことなく、「まな板」「えぐれ乳」と呼ばれ続ける思春期を送ったのだった。