「うわっ!!」
「小暑!!??」
肩に乗っていたはずの小暑がいない。後ろを振り向くと町の子供が小暑を片手に握っていた。周りを見渡すと子供達に囲まれている。水無月は小暑を握っている子供を睨んだ。
「っ!!小暑を返して」
「や〜だよ」
「小暑っ!!」
町の子供は小暑を握る手を強めた。
「ぐっ!!」
「・・離しなさい」
「嫌だって言ってるだろっ!!」
町の子供は水無月を突き飛ばした。水無月は後ろに倒れて尻餅をついた。
「・・大暑」
「ああ」
大暑は水無月の肩から離れて水無月の周りを飛んだ。水無月はゆっくりと立ち上がり右手を横に伸ばした。
「我、神の力に触れし者なり。」
水無月の右手の指先から肩までがぼんやりと光っている。
「天地万能十二四気。大暑-雷神」
水無月の右手には雷が絡みつきバチバチと音をたてている。水無月が大暑に向かって掌の差し出すと大暑は水無月の掌におりた。すると大暑は光を放ちながら形を変えて金色の剣へと姿を変えた。剣の周りにも雷が絡みつきバチバチと音をたてている。
「うわっ!!」
「キャー!!」
子供達は騒ぎ出し、殆んどの子供が腰を抜かしている。小暑を握っている子供が逃げようと水無月に背を向けて走り出した。
「お前を逃がさない」
水無月は地面に剣を突き刺した。
「雷網(ライモウ)」
剣から雷が放たれ、地面一面に広がり、子供達全員に絡みつき動きを封じた。
「何だこれ!??絡みついて離れないっ!!」
「これが最後だ」
子供が振り向くと真後ろに水無月が立っていた。
「うわっ!!」
「小暑を返せ」
「・・・・・」
子供は震えたまま動かない。水無月は無言で手を差し出した。子供はゆっくりと水無月の掌に小暑を置いた。
「水無月♪大暑♪」
小暑は水無月に抱きついた。水無月は安心して小暑を肩の上に置いた。
「よかった」
「助けてくれてありがとう」
「うん。帰ろう」
水無月は子供に背を向けて、歩き出しまた右手を伸ばした。腕に絡みついた雷が少しづつ消えて行き、地面一面に広がった雷も少しづつ消えて子供達は自由になった。水無月が剣を離すと剣は、空中で光り、剣は消えて元の大暑の姿へと戻った。大暑も水無月の肩に乗るとそのまま家へと帰って行った。