「なんだ、てめぇ」
大男が不機嫌そうに肩を鳴らした。
「私はパール、パール・エミール。あなたは?」
パールは余裕の笑みを浮かべていた。
「俺はドレー・タイタロクス。ルパスの兵の総大将だ」
ドレーは汚い歯を見せ、にやりと笑った。
パールもさすがに総大将という肩書きに一瞬たじろいだ。
「面倒臭ぇ、覚悟しろよクソガキ!」
ドレーは不機嫌な顔でパールに向かってきた。
「馬鹿、正面から向かってきても無駄よ!」
パールは素早く弓を構えるとドレーの右足に矢を放った。
だが、矢はドレーの足に到達すると同時に真っ二つに折れてしまった。
「そんな・・・どうして」
気がつけばドレーは目前に迫っていた。
「一発で終わらせてやる!」
ドレーは走りながら渾身の力を右腕に溜めだした。
パールはポケットから急いで何かを取り出した。
「死ね!」
ドレーはパールの腹部に全力の拳を叩き込んだ。
「ばーか、頭は悪いみたいね」
ドレーは驚いた。拳は未だにパールの腹部にあるが、パールはびくともしないのだ。まるで両手で拳を受けているように見える。
「なんだ?」
パールは腹部から自分の両手を離した。手には手榴弾に似た形のものがある。
「これあげる!」
パールは後方に跳びながらドレーに爆弾を投げつけた。
爆発はドレーに直撃し、白い煙が上がった。
「なるほど、衝撃吸収爆弾か。考えたな」
ドレーにダメージはなく、にこやかに白い煙から姿を現した。
「・・・ダメージがゼロなんて、化け物なの・・・」
パールは絶句した。今の攻撃で全てが終ると、そう確信していたからだ。
「まさか、あんな子供騙しで終ると思っていなかったよなぁ?さぁ続きと行こうぜ!」
「片付いたか?」
ウェドがフラットとシルヴァに叫んだ!
「終わりました!」
「こっちもだ!」
二人の返事を聞くと三人は大階段の前に集まった。
「さて、ムシも片付いたし、ダイヤは外で俺の仲間と戦ってくれてるし、行くか」
シルヴァの「行くか」という言葉に二人は身を引き締めた。
「はい、先にパールさんもいますしね」
「早く行ってやらねぇと、あの二人じゃ不安だ」
その時、背後の城の入り口が開いた。