パンケーキにお住まいの野ねずみさん8〜今日は馬でどう?

α  2010-09-13投稿
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 続いての相談者はお馬さんです。
 お馬さんは野ねずみ父さんが勤める会社で馬車の運転手をしています。御者がいなくても自分で進んで行けるんです。偉いですね。

 「先生、ワタシ、ここのところ同僚との付き合いが馬くいかないんです」

 お馬さんはしょんぼりと机に置いた蹄に目を落として野ねずみ父さんに打ち明けました。

 「上手くいかないというのは、例えばどのような…?」

 野ねずみ父さんが気遣わしげにそっと尋ねると、お馬さんは蹄をフルフルと震わせてポツポツ語り始めました。

 「それが…、ワタシたち馬は三頭で力を合わせて馬車を引くのが仕事でして、ワタシが先頭を勤めさせていただいているのですが…」

 口ごもって話を途切れさせてしまったお馬さんに、野ねずみ父さんは先を促すように相槌を打ちます。

 「一番先頭を走ることは何かと大変でしょうね。それで、お困りなことが何か…?」

 「ワタシの後ろを走る左の馬が、自分ではちっとも前に出ようとしないのに、後ろからああしろ、こうしろと指図してきて、最近ではとうとうワタシを押し退けて先頭になろうとして体当たりしてくるんです。
 ワタシは誰かに取って代わられなければならないほどのミスは何もしてないのに…」

 「それは、お気の毒です」

 野ねずみ父さんが職務上の心構えを少し忘れて、本心から同情の言葉をかけたのですが、お馬さんはうんうんと長い首を縦に振って頷くとまだまだ話し続けます。

 「会社の経営が上手くいってないのか、それともモラルハザードでも起こして企業体制の管理が疎かになっているのか、車のメンテナンスも行き届かず、いつ脱輪するか気が気じゃないっていうのに〜…
 ワタシだって普段使用する車がどうでも良いなんて思ってるわけではありません。しかし、この蹄では整備士のワオキツネザルさんたちのように車輪に油を注したりオイルを交換したりすることはできません。
 高度に発達した社会では、分業してそれぞれの専門を責任を持って担当し果たすことが秩序を維持するのに重要なのではないですか?!」

 と、少々興奮ぎみに首を乗り出し問い掛けてくるお馬さんに、野ねずみ父さんは頷きつつ手振りで落ち着いて下さいと表します。



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