「一度この屋敷でパーティーをしたいな。
友達を呼んで」
「パーティーですか。
それは楽しそうですね。
どんなパーティーをなさいます?」
「そうね。
友達は女の子ばかりだから…
アイスクリーム・パーティーっていうのはどうかしら?」
「そういうパーティーがあるとは、初めて聞きました」
そう言って、また鹿島が笑った。
彼は孝子と歩きながら、自分自身に誓っていた。
兄弟達と別れ、たったひとりぼっちになってしまった、この小柄で誰よりも聡明な女性を、これからは自分が守らなければいけないという事を。
そのために、自分は今存在するのだと。
ナイトがクイーンを守るように。
それが自分に出来る、ただひとつの恩返し。
それが自分に出来る、ただひとつの謝罪だと…
車の前で、孝子が星空を見上げて言った。
「『暁が金のクルミを銀のカゴに集め、黄昏が薄暗い屋根裏に放り投げる』
ハンガリーではね、夜空に広がる星の事を、こんなふうに表現するんですって」
そう言って、彼女は星空を見上げながら続けた。
「そしてモロッコでは、こんな美しい星空をこう言うんですって。
『金貨で一杯の
私のカゴ』」
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