刹那は押し黙る大和に向かって続けた。
「僕は、中学のころバスケをしてました。スポーツは好きじゃなかったけど、自分にも何かできないかって思ったんです。あの時までは・・・」
「あの時?」
大和の言葉に刹那は続けた「僕は、2年の先輩を差し置いてスタメンに起用されました。その時の監督は上背だけで僕をつかってたんです。もちろん、最初から活躍できるわけもなく僕は先輩達からぼこぼこにされました。」
刹那は涙を浮かべ言葉を詰まらせながらも続ける。
「僕は、それに負けないように頑張りました。でも、中2の時に僕は先輩から受けた傷で、バスケを辞めなきゃならなかったんです。」
刹那のほほにスーッと一筋の涙がこぼれる。
「僕は・・・ただ、純粋にバスケがしたかった。でもチームを信じられない。だから、バスケから離れていくしかなかった。気が付いたら僕はバスケが嫌いになってました。」
刹那がしゃべり終わるころには、涙が止まらずに大和に背中を向けていた。
大和も少しだけ目をつぶり、刹那の涙を流す姿を見ることができずにいた。