「そう…だったんだ…。」アキの過去を知ったカズヒロ。
当然ながら暗い顔をしていた。
「つらいと思うわ…。やっと私のことを分かってくれる人に出会ったのに、何で死んでしまったの?って、アキは思ったんじゃないかな。」
ユウタは開いた口が塞がらない。
「…それからのアキは?」カズヒロはサユに聞いてみたが、
「考えれば分かる…でしょ?」
「言いたくないほど、酷いいじめに…。」
カズヒロは1人で解釈し、1人でうなだれた。
「高校でも、またいじめにあってるって、私アキから聞いて…。心配。」
「それ…俺も聞いたよ…。」
カズヒロは、重い口を無理矢理こじあけて話した。
いじめられている事を知らずに驚いていたのはユウタだけだった。
アキ…。
君は俺に全てを曝け出してくれていると思っていたよ。
だけど、こんな過去があるなんて…。
アキ、さぞかし悲しかったんだろうになあ。
家に帰ってきたアキと母は、早速夕飯の準備に取り掛かった。
「アキはね…じゃがいも切ってくれる?」
『了解』
こんな些細なことでも、アキは幸せを感じていた。
『いただきます。』
アキのわがままも通り、今日の夕飯は肉じゃがだ。
『おいしい。』
「そう、よかった。」
アキの母は安心してそうな顔をした。
アキは、
『あ、お父さんにもご飯あげないと。』
「そう…ね。」
アキの母はご飯を用意しようと立ち上がった。
その時、
アキの母が倒れた。