見つめる先…

七海  2005-12-15投稿
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「ねぇ、この世で一番怖いものってなに?」
━━たぶん今は3時間目が終わる頃。
「んー…母ちゃん。」「真面目に答えて!!」
━━煙草を吹かしながらコイツは眉間にシワを作った。
「ん…クモ!?」「バカにしてるでしょ!?」
━━16で煙草…わたしも共犯になるのかな。なんて考えてた。
「ん〜…あっ!!」「なに??」「俺ね、幽霊一番怖いわ。」「もういい。」
━━この空間とこの煙草の匂いが"一番"好き。
「なんだよ。…お前は??」「わたしは…」「なんだょ。真面目に答えろよ。別に笑いとか期待してないから!」……。「…自分かも。」「なにそれ。」「なんとなく。」「ヘェー…。そうかもな。お前怖いもん。」「なに??」「スンマセン。」
━━雨が降りそうだった。「こんなに可愛くて優しくてナイスバディーな娘ドコにいるのよ!」「えっ??」「なに??」「スンマセン!!」
こんなやりとり、毎日の様にやってる。しかも同じ場所で、同じ相手と。でも、別に退屈じゃなかった。狭い、色のない教室に押し詰められてる方がよっぽど退屈で窮屈。
「ふぅ〜」
━━コイツは友達にとっても、家族にとっても、誰の"一番"にもなれないわたしを"一番"にしてくれる。
コイツの隣はちょうどいい温度で、わたしには、はまってる気がした。

16才の夏は思ったより暑くてイライラした。バイトとかなんとかで忙しくて、大好きな海に行けなくて、そんな思いが一層わたしをイライラさせた。
それに加えてもう一つ。わたしをイライラさせるもの……━━。家だったりしちゃうから余計イライラ。
「どうなの?この頃。」
━━ちょっと真剣な顔。
「なにが?」「家で。」「どうって?普通だけど。」「そう。言えたのかよ。」「なにを?」
━━コイツが返す応えは、もうわかってたけど流れで聞いてみた。
「家出たいってこと。」
━━大当たり。
「…言えるはずないでしょ。」「だよな。そんなこと聞いたらおばさん気絶するんじゃね?」「うーん…気絶するかも。」━━きっとお母さんは泣く。



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