―――拓朗家
バイトから帰宅した拓朗は特にすることもなく、小さいテーブルに向かって勉強している聖二を眺めていた
聖「…」
拓「…」
聖「…あのさ、ヒトん家で勉強しといて、あれやけど…じっと見られてると集中できひんねんけど…(-_-;)」
拓「……せえちゃんは何で医者になろうと思ったん?」
聖「え?…何、急に」
拓「いや…俺、自分が将来…何をしたいんかまだわからんくって」
聖「東京の大学行くっつって、翼にでかい傷つけたのに?」
拓「…わかってる。でもこっちの大学に来ようと思ったのは、先が見えてたわけじゃなくて…自分の力を試したかっただけで…いざ考えてみると将来って全然…」
聖「ふぅん」
拓「なあ!せえちゃんは何で医者になろうと思ったん?」
聖「…翼に言われたんや。聖二の好きなことは人の役に立つことやろって。それで俺は人のためになんかできる人になりたいな…って…」
拓「人のため…」
聖「お前は?好きなことない?」
拓「…」
聖「俺、思うねんけど…拓朗もわりと俺に似てるよな」
拓「どこが?!」
聖「いつも人のこと考えてるやろ?お前は仲間がほっとけないんや」