※すべて実話ですが、登場する名前は仮名です。
〈出会い〉
2000年
春
世間がミレニアムに湧いた年
僕らは出会った。
専門学校の入学式
ひときわ輝いている君がいた。
明るくて、無邪気で、まるで悪意ってのを知らない子どものような。
ちょっとおおげさだけど天使のような。
今まで感じたことのない感情がそこにはあった。
「ドキドキする気持ち」が。
その子の名前は「ユキちゃん」。
クラスでも人気のあったユキちゃんには、すぐに彼氏ができた。
あっさり失恋。
恋を失うと書いて失恋。
僕は何もしてないけど自動的に…。
よしっ!
その彼氏から奪ってやろう!
何としても振り向かせてやろう!
自慢じゃないけど、誰とも付き合ったことも告白したこともないこの僕には、そんな勇気はあるはずもないわけで…しかもその彼氏はとても良いやつ。
稀にみる良いやつ。
弱虫で臆病な僕には何もできるはずもなく…3年間好きという感情を持ち続けながらもユキちゃんの幸せを願うだけの日々…。
それでも、見ているだけでも僕にとっては十分すぎるほど幸せだった。
とても不思議な感覚だった。
いつの日か僕にも彼女ができた。
けど、僕の心の中にはいつもユキちゃんがいた。
今となってはその彼女にはとても申し訳ないが…。
そして、卒業…。
僕の小さな小さな恋物語は片想いで終わった…
…はずだった。