幸せ

yocchi  2010-09-20投稿
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『ねぇ、おじちゃんは何でそんなにやさしいの?』

小さな女の子がききました。

おじちゃんは答えます。

『昔ばなしをしてあげよう。』

1つ以外は普通の家族がありました。

お父さんとお母さんと僕と犬、たまに猫も遊びに来てた。

みんな仲良し、犬と猫も。

僕が家より大きな事以外は、普通の。

家は森の奥深くにあった。

家族以外はだれもいない。

僕は幸せだった。

お父さんとお母さんが天国へいってしまうまでは。

僕はどうしたらいいか解らず、町へ出たんだ。

みんなが僕を怖がった。

違うと言った。

石を投げられた。

捕まり、売られ、戦わされた。

僕は強かった、誰にも負けなかった。

僕はわるい事だけはした事がないと思っていたし、お母さんとの約束だったから。

でも違ったんだ、

『やらされているんだ。
仕方ない、僕のせいじゃない。』

いっぱい人を傷つけてしまった。

逃げだした。

その後は
山から雲に飛び乗ろうとしてみたり、
海でクジラと競争したり、
色々あった。

つらい思いをいっぱいしたし、楽しい思いもいっぱいした。

でも、幸せは見つからなかったんだ。

そして、何年かたって家にかえった。

犬と猫に話をした。

そうしたら、犬と猫が僕に言ったんだ。

『きみがかえってきて、僕ら幸せだよ?』

僕は幸せだった。

見つけるものではなかった。

そこにあるものだった。

いつも、いつでも持っているものだった。

『昔ばなしは、これでおしまい。』

ちっちゃい女の子は、また言います。

『だから、おじちゃんは何でやさしいの?』

おじちゃんは答えます。

『今、幸せかい?』

『うん、幸せよ?』

それは、とても遠くてとても近い国のお話。



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