ずっと、ずっと。
アキは泣いていた。
カズヒロはアキの泣いている姿をただ見る、そして励ますことしかできなかった。
そこに、富田先生が来た。「あ、どうも。」
カズヒロはアキに、
『富田先生が来たよ。』
と伝え、涙を拭いてあげた。
アキは、グチャグチャの顔で富田先生を見た。
「聞いた。アキさんのお母さんが亡くなってしまったって…。」
『はい…。』
「とりあえず、ベッドに横になりますか?」
『いえ…。』
アキは、心にぽっかり穴が開いてしまったようだった。
「そうですか…。カズヒロくんと一緒に居たいのですか。おっと失礼。」
富田先生は2人から去っていった。
「とりあえず、病院を出よう。」
カズヒロは、アキを半ばひっぱるようにして、病院を出た。
どしゃぶりの雨が降っていた。
「すごい雨だな…。」
カズヒロは、傘をさした。『ごめん。入れてもらっていい?私傘持ってきてないの。』
「いいよ。」
カズヒロは傘にアキを入れてあげた。
相変わらずまだアキは、暗い顔をしていた。