Ｄ香はため息をついた。
Ｅ代はそんなＤ香を見て「どしたの？」と尋ねた。
「会っちゃったのよ…」
机にふさぎ込みながらＤ香は力無く答えた。
「ん？誰に？」
キョトンとしながらＥ代はさらに問い掛けた。
「正義の女…」
Ｄ香がポソっと呟くとＥ代の顔が引き攣った。
「ま…まさか…冗談でしょ？」
「冗談ならいいんだけどね〜！あの時のままの姿でまた正義感を振りかざしてたわよ。」
二人は沈黙した。
正義の女、Ｆ菜。
彼女は自分の正義感を他人にぶつけて押し付けるため皆から皮肉を込めて『正義の女』と言われていた。
「あの時…死んだはずだよね…」
Ｅ代は不安な顔をした。
「私もそう思ったよ。仲間から怒り買って取り囲まれて…」
Ｄ香は不機嫌に答える。
「とにかくあいつまだ生きてるんだよ」
Ｄ香の言葉にＥ代は俯いた。
「お前生意気なんだよ！」
Ｆ菜に向かって皆苛立ちを表わにした。
Ｆ菜は黙ったまま皆を睨みつけている。
「いつもいつもお前の偉そうな態度にどれだけ皆が嫌な思いしてると思ってるんだ！」
しかしどんなに怒鳴られてもＦ菜は黙っていた。
「この…！お前の正義感でどれだけ俺達が傷ついているかわからせてやる！」
Ｄ香とＥ代はハラハラしながら見ていたが気になり少しづつ歩みを寄せた。
Ｆ菜は遠目にもわかるほど危険な状況になっていた。
皆に囲まれ掴みかかられて、そのまま路地奥に連れていかれた。
「もう…助からないね…」
Ｄ香が路地を見つめたままＥ代に話し掛けた。
「うん…」
Ｅ代も目線は路地に残したまま頷いた。
皆Ｆ菜はその時に死んだものだと思っていた。
「Ｆ菜だ！正義の女が来たぞ！」
誰かが叫ぶ。
皆一斉に凍り付いた。
「やばいよ！Ｆ菜仕返しに来たんだよ」
泣きそうになりながらＥ代がＤ香に縋り付いた。
「落ち着いて！仲間は沢山いるもの！大丈夫よ…」
Ｅ代を励まそうとするＤ香の額を鉛玉が貫通する。
Ｄ香の飛び散る血飛沫と肉塊を顔に浴び、Ｅ代は怒りに我を忘れＦ菜に飛び掛かった。
ズガーン
銃声が響きＥ代が崩れ落ちた。
辺り一面に死体が転がる中でＦ菜が叫ぶ。
「○地区、ゾンビの駆除終了！これにて本部に帰還します！」
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