ガタンゴトンガタンゴトン・・・
隼人は電車の中にいた
窓の外の景色がさっと
流れていく。
日が沈みかけたそらは
葡萄色に染まっていた。
窓の中の自分を見つめながら、病院で零に言われたことを思い出していた
「隼人さん、いいですか、一足先に伏見社長の別荘へ行って下さい。」
「一人で・・ですか?」
「ええ、そうなります。一応、内山刑事には隼人さんが行くことは言ってありますので、警察も受け入れてくれますよ」
「・・・わかりました」
とは言ったものの、
やはり一人でいくのは
心細い。
気がつくといつの間にか
外の景色は水田ばかり
になっていた。
「・・・・・・」
「(まもなく終点・・終点・・・)」
車内アナウンスを聞いて、隼人は我に帰った。
「やっとついた・・」
かれこれ4時間も
電車に乗っていたので
少し疲れてしまう。
電車を降りると、
かすかに虫の声がした。
別荘は駅から歩いて10分
くらいだった。