奈央と出会えたから。<413>

麻呂  2010-09-29投稿
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『さぁ!!みんな、
もう1回合わせて見るわよ〜!!

秋田谷さん、ピアノお願いね。』



音楽の白井先生が、クラスをまとめようと必死だ。


あたし達は、合唱コンクールに向けての練習真っ最中。


練習は、放課後以外に、音楽の授業でも行われるんだ。



『先生ェ〜〜。

指揮者もいないのに、どうやって練習すんの?!』



タツヤの言葉が、あたしの胸の鼓動を一層早くさせる。


聖人。指揮者に抜擢されてから、1度も練習に参加していない。



もちろん今日も‥‥


『北岡君は、まだ1度も練習に参加していないそうね。

もし、このままの状態が続けば、次点の藤木タツヤ君に代わってもらう必要があるわね。』



白井先生は、保健室の篠原先生に負けない位の美人だ。


篠原先生と違うのは、とてもクールな所。


練習に参加しない聖人に対してだって、すぐに代理人を考える所が合理的だと思う。


もし、篠原先生だったら、きっと聖人を説得してくれるだろうな。


聖人が素直に聞くかどうかは分からないケド。



『だ〜か〜らぁ〜‥‥

北岡が指揮者ってコト自体間違いなワケじゃん?!

誰が投票したワケぇ〜?!』



サチヨってば、



また事を大きくするようなコト言うし。


『俺は入れてねェよ。

投票してねーし。

大体、北岡は、クラスのチームワークなんて考える様なヤツじゃねェだろ?!』


サチヨの言葉にタツヤが反応する。



ケド、そんな言い方は‥‥



確かに練習に参加しない聖人が悪いかも知れないケド、


そんな言い方はないじゃん。



『ま‥聖人は来るもん!!』



タツヤを睨み付け、思わずそう言ってしまったあたしに対し、


尚もタツヤは畳み掛ける。



『ヘェ〜〜。

カノジョとしては、カレシを信じたいトコだよな。

俺には、北岡がビビって逃げた様にしか思えんがな。』



あたしがタツヤに言い返そうとした、



その時だった――





『誰が逃げるかヨ?!タツヤ。

テメェじゃあるめーし。

おい、お前ら!!

練習始めンぞ!!』



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