三人の人質を前にして雪野は、テレビカメラに向かって
「私たちの目的はただ一つ!愛知県警視総監である渡沼敬一郎をこのスタジオに呼ぶことだ!私を指名手配犯にした張本人と直接話がしたいわ!これ以上警察に無様な事はさせられないでしょ?愛知県の代表者であるのだったら漢らしく正々堂々と対談しましょ?今直ぐ……と言ったら無理でしょうから今から一時間後の午後四時にこのスタジオまで一人で来なさい。警察はいくらでも連れてきてもいいけど、このTV局には一歩も入れさせないこと!このTV局の監視カメラはすべてハッキングしてそこのモニターで見ることができるから入ってきたら一発で分かるわ。警察にはこれが録画してあるものではないと証明してあげるわ。ちょっとそこの女?携帯電話貸しな」
アナウンサーはジャキッと音を鳴らして脅されると震えながらポケットから携帯電話を差し出した。アナウンサーからぶんどった雪野は京都に投げて渡した。
それにしても、雪野の演技は演技に見えない………本当に役に酔っているのだろうか?
それはそうと京都は携帯電話に迷わずある番号を押した。
トルルルルルと、電話独特の音がスタジオに小さく響くと『はい、こちら警察です。何かありましたか?』と、オペレーターが聞く声がスタジオに響いた。なんと、京都が掛けた先は110番だったのだ。スピーカーモードにしていたみたいでオペレーターの声は筒抜けだった。
「こちらは、たった今愛知TVを乗っ取っている鏡京都だ。この電話が今現在かかっていることを警察に伝えろ。何か話したいことがあったらこの番号へ」
そう言って切る直前にライフルを発砲させてアナウンサーの悲鳴をオペレーターに聞かせた。オペレーターの戸惑った声もちゃんとマイクに入っていた。
突然の事態に愛知TVも動揺してすぐに撮影されているスタジオまで行こうとしたが
「局内にいる人間は三十分以内にすべて立ち去れ!!もちろんこの放送が時間を超えても放送されるようにセットしてからだ!」
「一人でも残っていたら容赦なくこのアナウンサーから殺して行くからな!!」
京都と雪野がそう言って局内にいる人間をすべて追い返したのだ。
そして四十分後ハッキングした監視カメラを見ると局内には誰もいなくなった。