雪野と京都は蹴り飛ばした机の上にのって残り二十分が経つのを待っていた。
「私たちいったいどうなるの?」
と、震えながら旬に聞く女子アナウンサーを慰める旬は勇気を振り絞って
「青山!鏡!頼むからそこの警備員の足の止血をさせてくれないか?」
旬がこめかみから汗を流して雪野と京都に交渉をすると二人は少し話し合って
「いいだろう。ただし妙な真似はするな」
と、京都が顎で促すと旬は自分の服を歯で破って警備員の足を止血した。
その行動に心打たれたのか先ほどまで震えていたアナウンサーも
「手伝う事はありませんか?」
と聞いて止血を手伝った。
そして、時刻は運命の四時となった。雪野が外を見ると警官が隙間なく入り込んで、まさにネズミ一匹入り込めないことになっていた。京都と雪野が冷血な目で監視カメラの映像を見ている。警官の後ろにはたくさんのマスコミが張り込んでいた。二人は内心マジでどうしようと考えたがここまで来たらあとには引けないと、腹をくくりなおした。もちろん大津も旬もだ。
京都と雪野が腹をくくった時、一台の黒い車が愛知TVの前にやってきた。
車から一人の男が来るとマスコミがわっと群がったが、警官が必死に押しのける。その出てきた人物こそ渡沼だったのだ。
「「来たな!渡沼 敬一郎!」」
二人は飢えた猛獣の目をしてモニターを見た。