「あのさ…サユ…。」
「何?」
「いつから、俺の事好きだったの?」
サユは、笑って答えた。
「高1からずっと。一目惚れだった。」
アキのことを好きになる前…。から、サユは俺のことを…。
「そうだったんだ…。」
カズヒロは、複雑な表情を浮かべていた。
その頃アキは、サユの帰りが遅いと思い、男子グループの2人に相談していた。「どうした?」
とユウタ。
『あの…サユがトイレから帰ってこないから、心配で…。』
「ん…。」
ユウタの表情が曇った。
あ、そうだ。ユウタとヒロは、手話が分からないんだ。
ノートを持ってこようとすると、
「あ、大丈夫。サユちゃんが帰ってこないから心配してるんでしょ?何となく分かる。」
ユウタはフォローしてくれた。
『ごめん…私ちょっと、探してこようと思って。』
アキはノートに書いてみせた。
「うん。アキちゃん1人じゃ怖いから、俺たちも行く。」
ユウタとヒロも、付いてきてくれた。
一方2人は、
「サユ…。そろそろ帰ろう。」
カズヒロの提案に首を横に振るサユ。
「何で?」
「もっと一緒にいたいもん。」
カズヒロは深いため息をついて、
「…俺のこと好きなのは良く分かったけどさ…俺には。」
「アキでしょ?分かってるよそんな事…。」
サユはもっと深くカズヒロに寄り掛かった。