目からは涙が溢れ出てきて、私は涙を拭いながらその場に立っていた。
アオトは優しく私の肩に手をおいて、ゆっくりと自分の方に私の体を向けさせた。
「リク。俺、リクといれて楽しかった。ここに連れてきてくれたこと、凄く嬉しいんだ。ありがとね」
そう言って、アオトは笑った。
私が好きな、温かくてこっちまで笑顔にさせるような笑顔で。
でも私は笑えない。
むしろ涙がもっと溢れてくる。
するとアオトは優しく私を引き寄せて抱きしめた。
「リク。俺と出会ってくれて、ありがとう」
いやだ、アオトが消えちゃう。
「……アオ、ト」
私は声を絞り出すように呟いた。
「私、アオトのこと……好きだよ」
私はいつの間にか、アオトのことが好きだったんだ。
もしかしたら、出会ったその日から。
だからこんなに悲しくて、寂しくて、愛しくなるんだと思う。
「ありがとう」
アオトはそう呟くと、私をきつく抱きしめる。
「リク」
アオトは私の名前を呼ぶと、私の両肩に手をあてて体をはなす。
「もう、行かなくちゃ」
「え?」
太陽はほぼ沈んでいて、辺りは暗くなっている。
アオトがいっちゃう。
「いや……いやだよ!」
「ごめん。でも、いかなきゃ」
アオトの体から粒子が飛んで、少しアオトの体が透けて見えるようになる。
もう、お別れ。
「リク。約束しよう?」
「約束?」
「うん。あのね、生まれ変わりってあるんだって。俺、生まれ変わったらリクに会いに来るから。だからリクも、俺を探してほしい。俺の姿違うかもしれないけどさ」
生まれ変わりがあるなら、アオトに会えるなら。
「うん。私、アオトのこと見つけるよ」
「ありがとう」
アオトはそう言いながら笑うと、私にキスをした。
唇をはなしたとき、アオトはまた笑いかける。
その時、太陽が完全に沈む。
するとアオトの体は完全に透けて、足元から粒子になって空に飛んでいく。
急速に粒子になっていくアオトを私はまた抱きしめようとしたとき、アオトの体は全て粒子になって飛んでいった。
「……アオト」
私は空を見上げた。
粒子は空高くまで飛んでいて見えなくなっていた。
「アオト、また会おうね」