「どうしたの?」
「…収穫はもうすぐね…」
ミーナは野菜の葉を手にとって呟いた。
「あの日もね、収穫前だったんだ」
「え?」
「村が無くなった日」
「…!」
ザックは息を呑むと、ミーナの後ろで立ちすくんだ。
「あの時はちょうどキノコ採りに出かけていたの。だから私だけ助かった」
ミーナは持っていた葉を離して、顔を上げた。
「その現場には多くの兵隊がいたわ。…王様もね…」
「…ミーナ…」
「それを見た瞬間、私は一目散にその場から逃げ出したの。なぜだかわからないけど、そこにいたくなかった」
ミーナはそう言って一呼吸置くと、
「家族や友達の安否を確かめる事をせずに、ね」
と、悲しげに吐き捨てた。
「…それは…」
「そうよ。仕方ないって。リリアからもそう言われたわ。でもね、私は逃げ出したの。王様から、兵隊から、そして、クリスタルから」
「…」
「もう私は逃げたくない」
彼女は唇を噛んで立ち上がった。
「ザック、クリスタルクラッシュになって」