「え…?」
「それで、王様を殺して」
「!」
ザックは驚いて肩を震わせた。
「冗談よ」
ミーナは小さく笑った。
「でも、半分は本気」
「…」
「村を破壊した時の王様の嬉しそうな顔、私は一生忘れないから」
彼女はそう言ってザックから目を逸らすと、静かに立ち去って行った。
「ミーナ…」
ザックはミーナの後ろ姿を眺めながら、ゆっくりと頭を振った。
「それは本当か!?」
フードを目深にかぶったリカルドは、目を大きく見開いた。
「ああ。彼らはとうとうあれを使った組織を出してきた。今動くのは危険すぎるぞ」
同じくフードを目深にかぶったエナンは、隣にいるリカルドを見ながら忠告した。
「何てことだ!」
リカルドは壁を叩くと、フードの下にある髪をかきむしった。
「そいつらは何人いた?」
「正確な数は把握してない。だが、複数いた事は確かだ」
「複数か…一人なら何とかなるが、複数では失敗する可能性が高くなる」
「中止した方がいい。奴は今度の成功で、必ずそいつらを護衛につけるぞ」