エピローグ
私は高校を卒業して大学生になった。
大学は今夏休み。
それを利用して、私は実家に戻ってきた。
荷物を置いて、私は外に出る。
行き先は、あの高台。
───『リク。約束しよう?』
あの時の約束を、1日だって忘れたことはない。
だから毎日アオトを探してる。
アオト、私はこんなにアオトを探してるんだよ。
だから早く会いに来てよ。
階段を上り終えて、高台から街を眺める。
空は雲1つない快晴で、静かに頬を撫でる風が心地よかった。
私が目を瞑ると、あの日の記憶が蘇ってくる。
アオトと出会った日のこと。アオトが私を抱きしめてくれたこと。アオトとここにきたこと。
そして、アオトの笑顔。
「アオト、どこにいるの?」
アオトに会いたい。
会いに来て私を抱きしめて?
私の大好きな笑顔を見せて?
そんなことを考えてたら、涙が出そうになった。
私は急いで涙を拭う。
泣いてる暇があったら、アオトのこと探さなきゃね。
「よしっ!」
私はそう気合いを入れて、もう1度街の景色を見た。
そして家に帰ろうと振り向いた、その時だった。
階段を誰かが上ってくる音が聞こえてきて、私は正面にある階段をじっと見つめた。
階段を上り終えたその人は、私に気づくと私に向かって笑いかける。
それは私が今までずっと見たかった、私が大好きな笑顔だった。
私の目からは、止まったはず涙がまた溢れだしてきた。
それでも私はその人に向かって、泣き顔のまま笑いかける。
「会いたかったよ、アオト」
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