きみとあたしの恋愛事情1-7

佐村 真由  2010-10-10投稿
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相変わらず無言のまま車は峠を走っていた。
秀人は目を閉じて優しい顔をしている。私の気持ちも優しくなれる気がした。キスしたくなる衝動に刈られたが、繋いだ指をほどくと、秀人の頭を撫でて沈黙を破った。
「これからカーブきつくなるから……スゴい暖まったょ!!ありがとう。」
精一杯の平常心を装って秀人に伝える。
「良かったぁ。」
私の戸惑いを知りもしない秀人は子供の様な無邪気な笑顔で答えると、外を見回した。
「もぉ峠かぁ。帰り道ゎ早かったな。」
「道、空いてたからねー。明日のお休みゎマッタリ過ごせそう??ってか寝てた系??」
「多分なっ。」
秀人はまた会社では見せたことの無い様な表情で微笑する。
その度に私の胸はときめいた。素直な気持ちで、好きだと思えた。私も優しく微笑する。
峠も下りきる頃、私は自ら秀人の手を取り指を強く絡めた。秀人の指先も、それに答える様に私の手を握り締める。
市街地を横目に、私の頭の中では、秀人を家まで送り届けなければと云う思いと、もう少しだけ触れていたいと云う欲が交錯する。
「ねぇ、チョットだけ休んで良いかな?山越えたし伸びがしたいさぁ。」
素直に側に居たいと言えない私は、そんな建て前を並べてみる。
「しょうがないなぁ。真希は。」
秀人は目を瞑り優しく指をなぞってくれた。
私は丁度良い静かな駐車場を見つけ、そこに入り車を停める。
「楽しかったねぇ!!今日ゎありがとぅ☆」
さり気なく手をほどき、伸びをする。つられて秀人も伸びをして首を回している。
「また行こうなっ!」
今までの、甘くもほろ苦くも有る時間が幻に思えるような、まるで何事も無かったような秀人の素振りに、何となく拍子抜けしたような感覚に陥るものの、まだ胸の高鳴りが収まらない。
秀人の顔を覗き込む。

目線がカチリと音を立てたように絡まると、2人は自然と手を重ねた。
このまま、この温もりを感じては居られないのだと胸の中で、色々な気持ちが渦を巻く。

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