9月に入った。
白愛高校は文化祭の真っ最中だった。
「ホワイトラブコレクション」
と言って、
高校生のファッションショーが開かれたり、
各クラスで催し物をやったりと、大盛況だ。
それと同時に、芸術展も開催されていて、そこには高校生が書いた小説、習字、絵など、たくさん並べられていた。
その1番目立たない所にあったアキが書いた小説。
アキの趣味だった。
本を書いて、今の気持ちを少し紛らわしたかった。
もちろん内容は恋愛だ。
そこに、明らかに高校生ではない1人の若い男性がやってきて、アキが書いた本を手に取った。
「…あなたの声は、どんな声?」
その若者は、アキが書いた本を読んだ。
この若者が、アキの人生を大きく変えることになろうとは、思ってもいなかった。
「…すいません。」
その若者の名前はタクヤ。大学1年。短い髪と優しそうな顔をしているが、カズヒロみたいにスポーツばりばりやってました。っていう訳では…なさそうに見える。
「…何でしょうか。」
タクヤは、学校の先生と思える人を呼び止め、
「この本を書いた人に、お会いしたいのですが。」