ザック、ミーナ、ダリル、メディナ、エナンの五人は小高い丘を登っていた。
｢リリアも連れてきてやりたかったなあ…｣
ダリルはため息を吐いた。
｢仕方ないですよ。兵隊に見つかってはいけませんし｣
｢まあな…｣
｢それより、あれは落としていませんか？｣
エナンはダリルの懐をちらりと見た。
｢ああ。ちゃんと持っているぞ｣
ダリルは懐を軽く叩いた。
｢着いたわよ｣
メディナはザックたちの方を振り返って、目の前に見える小さな家を指差した。
｢あれが元クリスタルクラッシュの？｣
｢ええ。年はいってるけど、実力は本物よ｣
そう言いながら彼女は家の扉の前まで来ると、そこを軽くノックした。
｢はあい｣
中から女の子の軽快な声が聞こえてきた。
｢女の子…？｣
ミーナは首を傾げた。
｢その人のお孫さんよ｣
｢どちら様ですかあ？｣
小さな女の子が小首を傾げながら、ゆっくりと扉を開けた。
｢あ、メディナお姉ちゃん！｣
女の子はメディナの顔を見ると、可愛らしい笑顔を見せた。
｢うむ、素晴らしい！｣
ダリルはその表情を見て大きく頷いた。
｢ダリル…そういう趣味があったの…？｣
ミーナは顔をひきつらせて、ダリルから僅かに距離をとった。
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