「趣味ではない!」
ダリルは胸を張ると、
「本能だ!」
と、叫んだ。
「…」
ミーナはがっくりと肩を落として、大きく息を吐いた。
「レム様はいるのかしら?」
「いるよー。お爺ちゃん!」
女の子は後ろを振り返って、レムと呼ばれた老人を呼んだ。
「何じゃな?」
レムは白い口髭を触りながら、扉までのっそりとやって来た。
「レム様、お久しぶりです」
メディナはレムを見て小さく頭を下げた。
「おお、メディナか!久しぶりじゃなあ、三年振りか?」
「はい」
「うむうむ…ん?」
レムは白い眉をピクリと動かして、ダリルを見た。
「あの者…今、クリスタルを持っておるか?」
「!」
メディナは目を大きく見開いた。
「持っておるんじゃな。…ワシに何をさせようというのじゃ?」
レムは厳しい表情でメディナを睨んだ。
「…クリスタルクラッシュを育成して頂きたいのです」
「何?」
「残念ながら、この国の王はクリスタルクラッシュを復活させました」
「…」
彼は苦虫を噛み潰したような顔で、目を逸らした。
「お気づきでしたか?」
「…乱れには気づいていた。だが…そうか…」