“ありがとう”
エリカが幸村さんに伝えなきゃいけなかった言葉。
ほんとはずっと伝えたかった言葉。
「俺…ありがとうだなんてエリカに言ってもらえる立場なんかじゃない…」
「そんなことないです。利用されてるのは自分が一番知ってました。
それでも幸村さんのそばにいたかった。
エリカが自分で選んだことです。」
「エリカ…
ほんとに信じてもらえないかもしれないけど、エリカのこと気にかけていたのはほんとだった。
売り上げのために店につなぎとめておいたのも事実だ。
ただ、自分のために一生懸命になるエリカを見ると…愛しかった。
恋人に対する感情とはまた別の感情で…なんていうか…なんて言ったらわからないけど…エリカといると元気になれる。」
幸村さんはエリカに対して恋愛感情がなかった。
でも、幸村さんはエリカのことを“愛おしい”と言ってくれた。
「幸せです。
幸村さんにそんなふうに思ってもらってたならわたし…」
ほんとに幸せです。