急に女の子の顔がくもった。
「ごめんなさい…急にこんなの、非常識だよね…ごめんなさい…写真…返すね」
写真は俺の元に無事返ってきた。
「さよなら…」
俺に背を向け、とぼとぼと歩いていく女の子…
なんだか…あの背中…瀬奈に似ているな…
俺とけんかして悲しそうな顔をする瀬奈…いつも“もういいよ…知らない”なんて言って、あんなふうにとぼとぼ歩いてくんだよな…
“彼氏と死別しちゃって…”
あのときのあのコの顔を思いだすとなんだか胸がしめつけられた。
それと同時に俺はかけだした。女の子の後を追うために…
「おい!!」
女の子は足をとめて振り返った。
「今日だけだ!!」
「え…」
「今日1日だけ付き合ってやる!!」
女の子は一瞬きょとんとしていたが、ふいに天使のようなきれいな笑顔を向けた。
「ほんと!?やったぁ!!はやて、ありがと!!」
笑顔まで瀬奈そっくり…
瀬奈に似ているから…
だからほっとけないのかもしれない…